第19回東北屈折矯正研究会抄録
第19回東北屈折矯正研究会抄録
当院における有水晶体眼内レンズ(ICL)挿入による屈折矯正手術成績
小野寺 毅、 須藤 聡子、 小笠原 孝祐
有水晶体眼内レンズ(Implantable Collamer Lens : ICL)挿入術は、強度近視眼に対する屈折矯正治療方法の一つであり、当院では平成26年6月からこの治療法を採用し5年が経過した。これまでの結果から強度近視眼に対する有効な治療法であると思われるので、その成績について報告する。
対象:平成26年6月から平成30年12月までに当院でICL挿入術を施行した年齢21~42(33.8±6.1)歳、術前自覚屈折値(等価球面度数)-4.75D~-15.75D(平均-9.24±2.83D)、術前眼鏡矯正視力1.0以上の全17症例(男性7例14眼、女性10例20眼)、術後経過観察期間6か月~5年(平均25.8±20.4か月)。
結果:術後の裸眼視力は、術翌日で34眼の幾何平均1.28±0.31、31眼で1.0以上であり、3眼でそれぞれ0.8、0.6、0.6であった。3か月目まではこの3眼中1眼で1.0未満が続いたが(1週目0.9、1か月目0.8)、6か月以降は最終観察日まで34眼全てで1.0以上であった。ICL挿入術の合併症として、眼圧上昇、白内障、角膜内皮障害などが指摘されているが、3/34眼でステロイド点眼による眼圧上昇(27、28、26mmHg)を認めたが、ステロイド点眼中止により正常化した。白内障、角膜内皮障害は認めていない。また、挿入時のレンズ破損1眼、術後に虹彩がICLで一部隆起し角膜内皮に接触していた1眼、ICLの表裏が逆転したまま挿入した1眼の3/34眼でICL交換挿入を施行した。これら3眼は良好な術後裸眼視力を得ており、また、再手術後の合併症もなく経過している。
考案:ステロイド緑内障はICL特有の合併症ではなく点眼中止で、ICL破損とICL表裏逆転挿入は挿入時の注意で防止できるものであり、最終観察時には全例で良好な視機能が得られ合併症を認めなかったことより、ICL挿入術は強度近視眼に対する屈折矯正治療方法として有効なものであると考えられる。
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