当院で経験した強度近視眼にみられた眼窩窮屈病について

【 更新日:2016/04/25 】

Kohmoto、Inoue、Wakakura(Clinical Ophthalmology, 2011.)は強度近視眼にみられた原因不明の開散不全症例を解析した結果、眼軸長に比し眼窩容積が小さく、上直筋の内方偏位と外直筋の下方偏位を認める場合に本症が生じることを報告した。その後、若倉はその病態から眼窩窮屈病(crowded orbital syndrome)と呼称した。我々も本症と考えられる5症例を経験したので報告する。

症例は37歳から74歳までの女性であり、開散不全4例、恒常性内斜視1例である。平均等価球面屈折度数は-9.41D、眼軸長は25.6mm~29.0mmであった。水晶体中央~眼窩先端までの長さの平均は44.9mmと対象となる同程度の眼軸長症例より約5mm短く、眼球冠状断の眼球中心を起点とする上直筋中央と外直筋中央を結ぶ角度(脱臼角)は平均112.7°とKohomotoらの報告とほぼ同様の拡大を示していた。

眼窩は狭い空間に眼球、外眼筋、神経、血管などの多くの器官が密集している。強度近視眼において原因不明の開散不全や斜偏位、後天性内斜視がみられた場合には、MRIによる画像診断が重要であり、眼窩窮屈病を鑑別診断の1つに入れる必要がある。


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