第46回北日本眼科学会

【 更新日:2013/02/22 】

波岡 聡子・高野 美代・小笠原 孝祐
バセドウ病に合併した上下斜視に対する手術量とその効果についての検討

バセドウ病眼症における上下斜視に対する手術量とその眼位矯正効果について検討した。対象は、バセドウ病眼症により上下斜視を生じ、その改善を目的として当院にて下直筋後転術を施行した男性8名、女性9名の計17名(18眼)で、手術時の年齢は42~81歳(平均60.8歳)、手術直前の上下偏位量は、交代プリズムカバーテストにて遠方9~45Δ(平均22.7Δ)であった。手術時期を決定するにあたっては、最低3ヶ月間眼位が安定していること、TRAb、TSAbの値が異常高値でないこと、また、MRI所見にて外眼筋の活動性変化が見られないことを目安とした。手術量の決定には、術前の偏位量のみではなく、術中に下直筋周囲組織との癒着の程度をみて判断し、下直筋4~6mmの後転術と周囲組織との癒着剥離を行った。術後3ヶ月における眼位は17例中14例で正面視にて正位となり、全例においてphoriaを得ることができた。今回の結果から、バセドウ病眼症における上下斜視手術に対する矯正効果は、一般の斜視手術とは異なり、症例による差がきわめて大きいことが明らかとなった。バセドウ病眼症における上下斜視の原因は外眼筋の伸展制限であり、偏位量が10~15Δ以内で上転制限が軽度の症例では、眼位矯正量を定量化することは可能であるものの、周囲組織との癒着剥離が大きい場合には、本症に対する手術量の術前定量は困難であると考えられた。

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