第321回岩手眼科集談会

【 更新日:2013/03/27 】

小笠原 孝祐・小野寺 毅
エキシマレーザー治療が奏効した角膜上皮基底膜ジストロフィー

症例は左眼の眼痛と視力低下を主訴に平成18年7月12日に当院を受診した23歳の男性である。初診時視力は遠視性乱視の矯正下にて左:0.5、右:1.2であった。左眼に角膜上皮びらんを認め、初診時所見からは、外傷性の再発性角膜上皮びらんが最も疑われたが、問診上、外傷の既往が全くないこと、また、地図状の基底膜重層化や上皮層内の微小嚢胞が認められたため、角膜上皮ジストロフィーによるものと診断した。角膜びらんは点眼治療ならびにコンタクトレンズ装用にても再発を繰り返すこと、また、角膜びらんが瞳孔領にかかっているため、エキシマレーザーによる治療法を選択し、平成19年7月27日左眼にPTKならびに遠視矯正PRKを併施した。その約4ヶ月後に右眼角膜にも左眼と同様の所見による疼痛と視力低下が出現し、両眼性の再発性角膜上皮びらんであることを確認したため、角膜上皮基底膜ジストロフィー(map-dot-fingerprint dystrophy)であると確診した。右眼に対しては平成20年3月22日に左眼同様のPTKならびに遠視矯正PRKを併施した。平成20年12月現在まで両眼とも角膜上皮びらんの再発はなく経過良好であり、視力はVd=0.9p(1.2×s+1.50D c+0.50D Ax30°)、Vs=0.9p(1.2p×s+1.50D c+1.00D Ax80°)である。
 外傷の既往のない再発性角膜上皮びらんを見た場合は、その原因として角膜上皮基底膜ジストロフィーを念頭におく必要がある。また、本症の治療にはエキシマレーザーによるPTKが有効であると考えられる。


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