第12回東北屈折矯正研究会

【 更新日:2013/03/27 】

小笠原 孝祐
エキシマレーザー屈折矯正手術後の角膜知覚の変化について

【目 的】
 エキシマレーザー屈折矯正手術のうちPRKとLASIKでは、術後の角膜知覚の低下と回復過程に差があることが臨床的に報告されており、このことが術後のドライアイの病態に関与していることが示唆されている。今回、当院にてPRKあるいはLASIKを施行した患者の角膜知覚の経時的変化について報告するとともにLASIK術後追加矯正手術(エンハンスメント)をフラップのリフト法により行った症例の角膜知覚の変化について検討した。

 【方 法】
 当院にてPRK、LASIK、エンハンスメントを受けた患者のうち、術後6ヵ月以上経過観察が可能であり、術前、術後1週間・1ヵ月・3ヵ月・6ヵ月の角膜知覚検査が可能であった症例につき、イースセシオメーター(Cochet&Bonnet)の角膜知覚計を用いて角膜中央部の角膜知覚測定を行い、ナイロン糸長にて比較した。

 【結 果】
 LASIK患者(247名487眼)は、PRK患者(27名37眼)ならびにエンハンスメント患者(46名56眼)に比し統計学的に有意な角膜知覚の低下が術後に認められた。PRKならびにエンハンスメント症例における角膜知覚低下には有意差は認められなかった。LASIKにおける角膜知覚の低下については10歳ごとの年齢別、また角膜切除量を50μm毎に分け三段階で検討したが、統計的な有意差は得られなかった。また、LASIK症例におけるフラップ厚と角膜知覚回復度については、フラップ厚が90μm以下と140μm以上では統計学的な有意差をもってフラップ厚が薄い群で角膜知覚の回復度が早いという結果を得た。

 【考 察】
 角膜の知覚神経は、三叉神経第一枝である眼神経から分枝した長毛様神経から角膜実質浅層に分布する角膜周囲神経叢と角膜実質深層に分布する輪状神経叢が関与しているとされている。PRKならびにエンハンスメントを行った症例で角膜知覚の低下が少なく、かつ回復が早いことは角膜周囲神経叢から分布するsubbasal plexusは角膜全体に分布し、輪状神経叢から角膜実質深層に分布するstromal nervesとの間には結合がないという研究報告を支持すると考えられる。また、LASIK術後のエンハンスメントにおいて角膜知覚の回復が早い機序としては、ヒンジ側から再生したsubbasal plexusがそのまま保たれるためと考えられた。

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