第7回日本眼形成再建外科学会抄録

【 更新日:2019/05/21 】

眼瞼下垂に対する経結膜的通糸によるMüller筋、挙筋腱膜短縮術の改良について

医療法人小笠原眼科クリニック 小笠原 孝祐
小田島眼科 小田島 祥司

我々は瞼板筋の切除を行わずに経結膜的通糸縫合によりMüller筋ならびに挙筋腱膜の短縮効果が得られる眼瞼下垂に対する術式について報告した(日本眼科手術学会誌,2006)。その後、術式に改良を加えてきたが、この度、経結膜的通糸による眼瞼挙上効果増強を目指した方法で、加齢性(退行性)眼瞼下垂に対し実施したところ、良好な結果が得られたので報告する。

改良点は、瞼板固定鑷子により瞼板を翻転した後に、少量の交感神経作動薬を含まない1%リドカインによる局所麻酔を行い、Müller筋を損傷しないように、結膜に約5㎜の切開を高周波メスを用いて行い、Müller筋直視下に7-0ナイロン糸を瞼板側(瞼縁より約3㎜)に通糸する。その後、さらに約5㎜瞼板層内に通糸し、再度瞼板側に出した後、結膜円蓋部の切開部に再通糸する。その部位においてMüller筋上から両端糸を挙筋腱膜を横断する方向に通糸し、その横断糸を縫合する。眼瞼挙上効果と左右のバランスを確認した後、切糸し切開した結膜部位を凝固接着する。

この方法を用いて中等度加齢性(退行性)眼瞼下垂症例に対し手術を施行したところ、術後有意な合併症は見られず、過矯正や閉瞼障害もなく、3か月以上経過観察できた17例(平均年齢72.3歳)全例において整容的に満足できる結果が得られた。

本術式は手術時間が短く、術後の腫脹や疼痛などの患者負担が軽減され、加齢性眼瞼下垂の初回手術として選択して良い方法と考えられる。

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