第331回岩手眼科集談会

【 更新日:2013/02/22 】

小笠原 孝祐 ・ 小野寺 毅
LASIK専門クリニックで施術された症例について

平成19年9月から平成23年10月までの過去5年間に当院を受診した他施設にてLASIKを受けた患者62名のうち、いわゆるLASIK専門施設(以下LASIKクリニック)にて施術された42名について検討を行った。受診者の年齢は20歳から66歳までであり、20歳~39歳までが50%を占めた。受診時に紹介状を持参した患者は半数であったが、その内容は術前角膜曲率半径の記載がないなど全例で不備なものであった。LASIKクリニックで手術を受けてから当院受診までの期間は4日から8年半と幅が広く、1ヵ月以内に受診した患者は手術した翌日の診察以後一度も診察を受けておらず、また1年以上経過した患者のほとんどは術後の近視の戻りが生じた症例が大多数であった。LASIKによる合併症が認められた症例は6名おり、DLKとstriaeが各3例であった。またLASIK施行例にみられた眼疾患としては白内障4名、緑内障3名、感染症(銀座眼科で施術)、輻湊不全、調節障害が各1例であった。緑内障の中には片眼がほぼ末期に近い緑内障症例も含まれていた。LASIKクリニックが開設された2005年頃より我が国におけるLASIK患者は急激に増加してきたが、その一方で不十分なインフォームドコンセント、医療情報の氾濫による医師・患者間のトラブル、過剰な医療広告が問題となり、また十分な適応検査を受ける必要性などの啓発活動を無視する患者層の存在も問題となってきている。LASIKが極めて有用な屈折矯正医療であり、LASIKクリニックは医療倫理学的な立場を第一義に手術に取り組むことを願うものである。

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