第322回岩手眼科集談会

【 更新日:2013/02/21 】

高野 美代・須藤 聡子・瀬川 博子・小野寺 毅・小笠原 孝祐
手持ち式接触型眼圧計iCareの使用経験とその有用性について

iCareはフィンランドのTiolat社により開発された点眼麻酔不要の手持ち眼圧計である。今回我々は、iCare、ゴールドマン圧平眼圧計(以下GAT)、ノンコンタクト眼圧計(以下NCT)による眼圧測定結果を比較検討した。また、それぞれの眼圧計による測定値と中心角膜厚との相関を調べた。さらに、GATやNCTによる眼圧測定が施行困難あるいは測定値が安定しない症例に対してもiCareによる眼圧測定を行い、その有用性を検討した。
 対象は屈折矯正手術希望者のうちiCare、GAT、NCT、ならびに中心角膜厚測定を同一日に施行できた男性16名31眼、女性18名35眼、計34名66眼(平均年齢39.59歳)である。3種の眼圧計による測定結果を比較した結果、眼圧の平均値はiCare13.9㎜Hg、GAT15.0㎜Hg、NCT13.4㎜Hgであり、GAT、iCare、NCTの順に高値であった。また、眼圧値における相関係数はiCareとGATがr=0.81、iCareとNCTはr=0.79と強い相関を示した。iCare、GAT、NCTによる眼圧と中心角膜厚との相関を調べた結果、それぞれr=0.38、r=0.40、r=0.52となりiCareは3者の中で中心角膜厚の影響を受けにくい可能性が推測された。
 一方、NCT、GATで測定困難な瞼裂狭小眼、眼瞼腫脹眼、円錐角膜、翼状片等の症例においても安定した眼圧測定が可能であった。また眼位によって眼圧が変動する甲状腺眼症症例等においても有用であることを確認した。また、測定時の疼痛がないことから小児や認知症、精神発達障害の症例においても眼圧測定が可能であり、因みに眼圧測定可能な最小年齢は2歳であった。
 iCareは無麻酔で疼痛なしに迅速な眼圧測定が可能であり、その精度も高く、また小児をはじめとするGATやNCT測定が困難な症例においても極めて有用な眼圧測定機器と考えられる。

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