第310回岩手眼科集談会

【 更新日:2013/02/21 】

小笠原 孝祐
広義の開瞼失行症に対するボツリヌス治療と通糸法による瞼板筋短縮術
(小田島法)の併用療法

純粋な開瞼失行症では眼輪筋の不随意収縮は外見上認められないとされるが、実際には臨床上、開瞼失行とは表裏の関係にある眼瞼痙攣を合併する混合型が多く見られる。いずれの病状においても、治療には苦慮することが少なくない。今回、パーキンソン病を基礎疾患にもち、levodopa治療を行っている開瞼失行症の73歳男性と、本態性眼瞼痙攣を合併した混合型開瞼失行症の71歳女性に対し、通常の2倍(各眼30単位)のボツリヌス毒素治療と通糸法による瞼板筋短縮術の併用療法を行い、満足できる開瞼効果が得られたので報告する。開瞼失行症に対するボツリヌス治療の効果は不十分なため、上眼瞼挙筋tuckingを追加施行する報告は見られるが、手術による眼輪筋への侵襲が問題と考えられる。眼輪筋への影響を最小限にできる通糸法による瞼板筋短縮術と高単位のボツリヌス治療を併施する治療法は、開瞼失行症患者に対し試みられても良いと思われる。

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