第295回岩手眼科集談会

【 更新日:2013/02/21 】

高野 美代・遠藤 由佳理・堀内 瞳
二次性外斜視に移行した調節性内斜視症例の検討

調節性内斜視から二次性外斜視へ移行した2症例について過去の報告と比較し検討した。1例は初診時年齢6歳にて眼鏡装用を開始し正位となったが、約1年後に外斜視へ移行し交叉性複視を訴えた男児で、他の1例は初診時年齢3歳7ヶ月の女児で、左眼の固視が不安定な状態で5歳11ヶ月時に外斜視へ移行した症例である。二次性外斜視に移行した原因としては、眼鏡度数が低矯正であったために微小角斜視の状態で内斜視が残り、両眼視機能の発達が不良であったことと、固視が不安定だったことが主因と考えられた。2症例の共通点として、両眼屈折度数に差がないにも関わらず、治療当初に片眼弱視の像を呈していたことは興味深いと考えられた。今回の経験から、調節性内斜視の治療は視覚の感受性の高い時期から始める必要があることと、強度遠視の調節性内斜視や眼位が良好に思われても近見立体視が不良な症例では注意深い経過観察が必要であることを再認識させられた。

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