3D Visual Function Trainer‐ORTeによる治療が奏効した輻湊不全の一症例

【 更新日:2015/07/09 】

【目的】
従来の輻湊訓練および融像幅増強訓練を行っても明らかな効果が認められなかった輻湊不全症例に対し、3D Visual Function Trainer‐ORTe(以下ORTe)による融像(輻湊)訓練が奏功したので報告する。

【症例】
30歳女性。肩こり、頭痛、近方が見え難いとの訴えで来院。等価球面+0.75Dの遠用眼鏡を作製するも症状改善せず。near point of convergence(以下NPC)は眼前約80~100㎝で全く輻湊せず。眼位は遠方正位、近方10Δの外斜視で輻湊以外の眼球運動は正常。その後Jump Convergence、Prism Convergence、5点カード等の訓練を行うも、NPC眼前40㎝位で停滞し、また近方視力も不安定のため、近用眼鏡として等価球面+2.75Dで両眼に4Δbase inのプリズム眼鏡を処方した。約1年半後、プリズム眼鏡装用下でNPC眼前30㎝前後となり、近方の複視は改善したが、度々視力低下やNPCの延長が見られた。当院にORTeを導入後、月1回融像訓練(振り子)10°15°20°を各60秒実施したところ、3回目で輻湊がスムーズになり、眼前15㎝前後まで改善が認められた。現在、眼位は遠方、近方とも正位であり、プリズム眼鏡なしで仕事にも支障なく、視力も安定、NPCも眼前10㎝前後を維持し、QOLの向上が得られている。

【結論】
従来の輻湊および融像幅増強訓練で十分な効果が得られない輻湊不全症例に対しても、ORTeの視能訓練は有効であり、今後輻湊不全症例の治療法として期待できる。

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