平成19年1月号(No.74) ノロウイルス感染に注意
現在、全国的にノロウイルス感染症が流行しています。ノロウイルスは、非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種で、秋から年末にかけて流行し、幅広い年齢層に罹患する傾向があります。カキなどの二枚貝の生食による食中毒が有名ですが、わずかなウイルスが口の中に入るだけでも感染し、また、飛沫感染も起こることから、ヒトからヒトへの感染力も非常に強いウイルスです。
症状の始まりは突発的に起こることが多く、夜に床についていたら突然、腹の底から込み上げてくるような感触がきて、吐き気を催し吐いてしまうことが多く、しかもそれが一度で終わらず、何度も激しい吐き気が起こったり吐いたりし、吐くためにトイレの便器のそばを離れられないといったことも起こります。しかも無理に横になろうとしても、気持ち悪くて横になれず、吐き気がおさまった後は、急激且つ激しい悪寒が続き、さらに発熱を伴うこともあります。これらの症状は1~2日で治まり、後遺症が残ることはありません。ただし、免疫力の低下した老人では死亡した例(吐いたものをのどに詰まらせることによる窒息誤嘸性肺炎)も報告されております。家庭においては、脱水症状を防ぐため、市販のイオン飲料、スポーツドリンクを電子レンジなどで人肌に温めて飲むことが推奨されます。スポーツドリンクがない場合、水100ccに食塩0.9gを溶かした生理食塩水を調製し、人肌に温めて飲むことが推奨され、電解質を含まない湯冷まし、お茶などは水分の吸収が遅いので推奨できません。注意点として、最も重要な予防方法は手洗いです。帰宅時、食事前には家族全員が流水、石鹸による手洗いとうがいを行うようにして下さい。
次に貝類は十分に加熱(85度以上)して食べましょう。使用したまな板は、熱湯に1分以上浸して消毒します。衣服や物品、嘔吐物を洗い流した場所の消毒は、次亜塩酸系漂白剤(ハイターなど)を約200倍に薄めて使用し、手指、身体などの消毒はしないで下さい。第一に洗浄、第二に消毒、流水、石鹸による手洗いをみんなで推奨していきましょう。
看護師長 木村 津次子