平成6年2月号(№8) 涙特集その1

【 更新日:1994/02/01 】

今年の冬は最近の2、3年よりは寒さが厳しく、雪の量も多いようです。暖かい春の訪れが待ち遠しい今日このごろですが、それとともに平年並みの暑さの夏と、豊作の秋であってほしいと願いたい気持ちです。
 さて、今月号と来月号の『アイマンスリー』では涙に関する病気、とくに寒くなると症状が強くなる流線症(なみだ目)と涙の分泌量が不足するために起こる涙液分泌減少症、乾燥性角結膜炎(ドライアイ)についてとり上げてみたいと思います。

1.涙の分泌とその通路

涙は普段は作られていないように見えますが、眼球の上外側奥にある涙腺で常に作られており、これを涙の基礎分泌( 1日の分泌量は2~3cc)といいます。この分泌量が減少していろいろな症状をきたすのが後述する「ドライアイ」です。これに対し、目にいろいろな刺激をうけたときに出る涙を反射性分泌といいます。 
 これらの涙は、目頭の上下に1つずつ小さい孔(涙点)から涙小管を通って涙嚢に入りさらに鼻涙管を通って鼻から口へ抜けています。目薬をさした後に苦味を感じたり、泣いたときに鼻水がでるのにはこのことも関係しています。

2.流涙症(なみだ目)について

よく『涙腺がつまった』という表現を患者さんは使いますがそれは間違いで、前述したように涙の通路のいずれかがつまった場合に流涙症が生じます。最も多い病気が鼻涙管閉塞症で、多くは慢性の結膜炎が原因しますが、鼻涙管に涙が流れる前にある涙のうの炎症(涙のう炎:目頭を押さえると涙と共に膿が逆流したり、急性の場合は大きく腫れ上がり痛みを伴います)の後によくおこります。鼻涙管の閉塞には涙点や涙小管の閉塞を伴うことも多く、どこが詰まっているか確認した後に閉塞部をプジーという細い針金で開放し、涙の通り道を洗浄し、点眼治療を行いますが、再発することが多いため最近ではシリコンの特殊なチューブを留置する方法が開発され当院でも実施しています。涙のう炎の場合は、抗生物質で洗浄するとともに炎症が落ち着いた時点で鼻の骨を削って小さな孔を開け、鼻の粘膜と涙のうの粘膜をつなぐ涙のう鼻腔吻合術という手術が必要になることもあります。 
 涙の通路に閉塞がなくても流涙症を生じることもあり、多くの場合老人性導涙不全症という涙を鼻涙管へ導く吸引力の年齢的な低下によるもので眼瞼をひきしめる手術をすると治ることもありますが、主には涙の分泌をおさえる点眼治療を行います。 
  生まれつき鼻涙管が閉塞していることもあり、先天性鼻涙管閉塞といいます。症状は生まれた直後には異常はないのですが、生後2~3週頃より目ヤニや涙が出るようになり、ひどい時には涙のう炎(新生児涙のう炎)を合併します。抗生物質の点眼で目ヤニがおさまっても涙が止まらないときには、この病気の可能性が高いと考えられます。鼻涙管の鼻への出口に生まれつき薄い膜が張っているために起こる病気で、治療は細い針金(プジー)を涙点から入れてこの膜を破りますが、なるべく早く処置するのが良く多くは1回のプジー処置で治ります。しかし、1歳以上になったた場合は全身麻酔下で行わなければならないこともあり、また、施行時期が遅くなるとプジー治療がうまくいっても流涙が残ることもありますので注意が必要です。

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