眼瞼下垂と眼形成について

【 更新日:2023/10/06 】

眼瞼下垂について

眼瞼下垂とは、まぶたが下がって開きづらくなった状態です。生まれつきの先天性眼瞼下垂と、後から起こる後転性眼瞼下垂とがあります。先天性の場合は、まぶたを持ち上げる筋肉が未発達なことが原因です。後天性眼瞼下垂の多くは、まぶたをこすりすぎる、あるいは老化などの原因で、まぶたを持ち上げる筋肉がゆるむために起こります(腱膜性眼瞼下垂)。まぶたが下がったままの状態では、眉毛を無理に上げようとしたり、首を曲げあごを上げて物を見ようとする習慣がついてしまいます。この状態が長く続くと額にシワがより、頭痛や肩こり、あごの関節が痛くなる原因になります。まぶたを開けやすくするために、治療としてまぶたを持ち上げる筋肉を短くしたり、筋肉を補強する手術を行います。
手術方法の選択と手術量については、患者さん一人ひとりの精密検査を行い決定します。当院では患者さんになるべく負担をかけないよう、手術の侵襲が少ない術式を工夫して施行しています。眼瞼下垂の手術は大きく分けて上まぶたの皮膚を切開する方法と切開せずにまぶたの下側の結膜という組織側からアプローチして手術する方法があります。高齢化社会となり、眼瞼下垂の患者さんは年々増加しており、そのために視力低下や視野の狭窄を生じている方もたくさんおられます。当院では御高齢の方や血液をサラサラにする薬を服用している方でも安全に実施できるような術式を改良し、応用しております。

 

眼瞼下垂の総論については、下記、日本眼科学会のページを御一読下さい。

https://www.gankaikai.or.jp/health/54/index.html

当院で行っている眼瞼下垂術式

・瞼板通糸法(経結膜的ミューラー筋・挙筋腱膜タッキング通糸法)

・経皮的眼瞼挙筋(腱膜)縫着術

・眼瞼皮膚切除術:重瞼線切開法

・眉毛下皮膚切除法

・重瞼作成術:切開法、埋没法

※上記は同時に複数の手術をすることもあります。また、術後に追加手術をすることもあります。

眼瞼下垂の術前検査

1)内科的な神経疾患や筋肉の病気による眼瞼下垂でないことを確認します。

2)上眼瞼挙筋の測定
まぶたを上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の力がどのくらいなのかを知ることは、手術手技の決定に重要であり、手術後のまぶたの上がり具合に大きく関係します。
当院では、従来行われてきた、メジャーによる測定ではなく、測定用メガネ『キョキンくん』を用いて正確性を向上させています。

3)まぶたの開き具合の測定
まぶたが開瞼している大きさを瞼裂幅といいます。術前にその値を正確に計測し、術後との比較を行うことは重要です。上眼瞼の上がり具合は角膜中央からまぶたまでの距離になります。その値をMarginal Reflex Distance 1 (MRD-1)といいます。
当院では、従来行われていた”物差し”を用いた計測ではなく、前眼部OCT(光干渉断層撮影)装置を用いて正確に計測しています。

眼瞼下垂のうち、最も多い腱膜眼瞼下垂に対する手術方法として、当院では目の裏側の結膜というところから糸を通し、皮膚を切開しない方法を開発し、手術を行なっています。その術式についてアニメーションで紹介しますのでご覧ください。
(※アニメーションは音楽が鳴りますので、音量にご注意ください。)

眼瞼下垂手術の特徴

当院では普通のメスによる切開手術の他、出血の少ない高周波ラジオメス(ellman高周波手術装置)を使用した手術を行っています。

①ellman高周波手術装置 ②A:手術用ハンドピース B:凝固用鑷子
③A:睫毛乱生手術用 B:眼瞼下垂手術用
C、D:結膜弛緩症手術用
(先端を変えることにより色々な手術に応用できます)
④眼瞼下垂手術等の
眼瞼手術用エンパイアニードル

眼瞼下垂による肩こり

まぶたが下がってくる”眼瞼下垂”

頭痛や肩こりの原因にも

日医ニュース健康ぷらざNo.276

眼形成手術について

当院では、上眼瞼の皮膚が加齢により緩んでくる眼瞼皮膚弛緩症に対する手術や、いわゆる逆さまつげ(眼瞼内反症)、眼瞼が外側にそってしまい赤めになってしまう眼瞼外反症などの眼形成手術も行っております。当院院長は眼形成再建外科学会の会員でもあります。

尚、全身麻酔下での手術が必要と考えられる患者さんは、岩手医科大学眼科 田中三知子講師に紹介をしております。

 

院長が共同執筆した『眼瞼手術の極意』が発刊されました


TOPへ