平成23年12月号(No.93) カラーコンタクトレンズの使用は慎重に
おしゃれ用カラーコンタクトレンズの使用は慎重に
平成17年4月1日より医療機器は、その危険性に応じてクラス1から4まで分類されました。
クラス1(一般医療機器)とは、その医療機器に不具合が生じた場合でも、人体への危険性が極めて低いと考えられるもの。 |
クラス2(管理医療機器)は、その医療機器に不具合が生じた場合でも、人体への危険性が比較的低いと考えられるもの。 |
クラス3(高度管理医療機器)は、その医療機器に不具合が生じた場合、人体への危険性が比較的高いと考えられるもの。 |
クラス4(高度管理医療機器)は、その医療機器の患者への侵襲度が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結するおそれがあるもの。 |
視力補正用コンタクトレンズは、クラス3の高度管理医療機器に分類され、心臓ペースメーカー、人工心臓弁、人工呼吸器などと同等に扱われることになりました。この高度管理医療機器を販売、賃貸する場合には知事の許可を得る必要があります。このように視力補正用コンタクトレンズが高度の管理を必要とする項目に分類された理由は、目にあっていないものを使っていたり、誤った使い方をしたりすると、失明をもたらすような重大なトラブルを起こす危険性が高いからです。
また、以前は雑貨品として販売されており、目の色彩部分の色を変え、おしゃれとして楽しむためのおしゃれ用のカラーコンタクトレンズ(度なしカラーコンタクトレンズ)も、平成21年11月4日より、視力補正用コンタクトレンズと同様に高度管理医療機器になりました。おしゃれ用といってもコンタクトレンズは目に直接触れていますので、その使い方やコンタクトレンズの品質そのものの影響で、重大なトラブルを起こす危険性が高いからです。平成18年2月に国民生活センターが発表した「おしゃれ用カラーコンタクトレンズの安全性」に関する調査があります。この調査によると、調査対象10銘柄のうち2銘柄が、眼粘膜刺激が起こり得る細胞毒性を持ち、また4銘柄はカラーコンタクトレンズの色素が流出することにより使用者に眼障害が生じる場合があるという結果がでています。また、視力補正用コンタクトレンズと同じように酸素不足による角膜血管新生や角膜内皮障害(角膜を透明に維持する細胞である内皮が減少する状態)、あるいは、角膜感染症による角膜混濁(ばい菌がついて透明な角膜が白く濁ってしまう状態)などの危険性もあるのです。
では、カラーコンタクトレンズは、絶対に使用しないことが良いのでしょうか?
「眼の健康」という点から考えると装用しないほうが眼障害の危険性を減らすことができ安全です。私たち眼科医もカラーコンタクトレンズの装用を積極的に薦めてはいないことからも、それを推し量ることができると思います。 しかし、カラーコンタクトレンズで瞳をきれいにみせたい、おしゃれをしたいという心理は十分理解できます。お化粧をすると肌が悪くなるからお化粧をするなと言っているようなものですので、しっかりした知識を持ってカラーコンタクトレンズを使用することが大切なのです。眼障害を予防するためには、装用時間を守ること、洗浄や消毒などの手入れをきちんと行うこと、また、面倒くさがらずに、定期的に眼科医の検診を受けることなどが必要です。
カラーコンタクトレンズは、はっきりとおしゃれ目的に限定して、視力補正用コンタクトレンズよりもずっと短時間の装用にとどめ、装用期限を厳守することが大切です。また、格安だからというだけで、安易に飛びつくことも危険です。販売業者は眼の健康について責任を持ってくれることはありません。販売業者についても、購入前によく比較調査をし、眼科医と相談したうえで購入する程度の用心深さは必要です。
カラーコンタクトレンズの購入と装用については、以上をきちんと守って行うことが大事です。 すべてはあなた自身の「眼の健康」のためなのですから。