平成13年12月号(№51) エキシマレーザー近視矯正手術特集
11月2日、3日箱根プリンスホテルにおいて第2回エキシマレーザー手術ミーティング(HES)が 開催され、当院からも看護婦、検査員を含め5名が参加しました。この会は、昨年1月に我が国においてもエキシマレーザーによる屈折(近視)矯正手術が認可されて以来、 実際にエキシマレザー手術を行なって施設の技術向上と意見交換を目的に企画されたもので、最新の情報を得ることができます。
屈折矯正手術も日進月歩であり、適応の拡大、手術法の工夫、術後治療、合併症対策などを勉強することができ、大変有意義な会でした。 当院においても近視矯正手術の向上に今回の会で得られた知識、情報と経験を生かしていきたいと思います。
院長 小笠原 孝 祐
<日本におけるエキシマレーザー近視矯正手術の現況>
エキシマレーザー手術装置は全世界に約4000台普及しておりますが、我が国では現在174眼科医療機関に設置されています。 昨年度の手術数は1ヶ月約2,700眼、年間35,000件程と報告されています。 手術数は年ごとに増加しておりますが、米国と比較すればまだその数は50分の1程度です。 (米国では年間150万眼の手術が行なわれています)
最近の報告では、きわめて強い近視の方を除けば術後3ヶ月で80%以上の方が視力1.0を獲得しており、手術精度と安全性も非常に高くなっております。 ちなみに当院で現在まで近視矯正手術を施行した47眼のうち94%(44眼)が裸眼視力1.0以上になっております。 術後結果についてのアンケート結果では非常に満足が97%、ほぼ満足は3%であり、不満と答えた人はおりませんでした。
<箱根エキシマレーザーミーティング(HES)に参加しての感想>
今回は医師、コメディカル、技術者それぞれの立場から25題の発表がありました。会に参加している各施設の手術経験件数は、これから始める施設から10,000眼以上とさまざまでした。
日常生活を快適に過ごすためのクオリティー・オブ・ライフ(QOL)を高める手段がLASIK(レーシック) であり、そのLASIKにおける看護婦の役割として、より手術の安全性を追求していく上で現在実践しているもの、 例えば器械メンテナンスと稀な合併症ではありますが、術後層間角膜炎との関連についての報告は興味深く、これからの参考になりました。 また、一般診療と自由診療を行なっている施設の時間的、人員的配分などいかに余裕を持ち手術にあたるかといった常にさまざまな課題に試行錯誤している現状は共感が持てました。
今後、当院においても専門分野の技術の習得はもちろんのこと、少しでも余裕をもって他のスタッフとの連携により、事前の患者さんの情報を共有し、安全性の高い手術提供に結びつけていけるよう取り組んでいきたいと思います。
看護婦長 角舘 香
今回の講演を聞いて、患者さんに安全な手術が提供できるよう援助する重要性について改めて考えせられました。 ひとくちに看護といってもいろいろな側面があり、環境整備から点眼指導に至るまですべての点で患者さんの把握が重要になります。当院では、新しい分野であるLASIKに対し、安心して手術が受けられるよう一括性を重視し、 特定の検査員が検査、説明を行なっています。 そのため看護スタッフは患者さんと接する機会が限られており、今後はスタッフによる術前ミーティングを充実させる必要性を感じました。 患者さんが安全に屈折矯正手術が受けられるよう知識向上と共に、日々課題に対し努力していきたいと思います。
主任看護婦 柴田 律子
屈折矯正手術に関する様々な発表を聞いて、 医療機器を安全に普及させるために開発するメーカーの努力と、厚さ約1.0ミリの角膜を変えるレベルの高い技術にとてもびっくりさせられました。人間の角膜はピント合わせのため機能的に大きく働いている部分なので、手術には安全性が求められています。その屈折矯正手術で「良く見えるようになった」 「とても満足している」といった結果が大半を占めているのは、安全性の高い手術であるということと強く感じました。
私自身、視力に不自由がないので 「良く見えるようになった」 ということは体感できませんが、 すでに海外では理論上術後4.0の視力が得られるといった話題も出ているそうです。 そのときが来たら私自身「良く見えるようになった」 と体感できればいいなと思いました。 開発や進化する最先端の医療分野の素晴らしさを改めて知ることができました。
検査部長 森 明広
各施設のデータをもとにしての講演はどれもためになる話ばかりでした。その中で、今回初めてという検査、看護婦を対象にしたミーティングもありました。 角膜形状検査、多角的屈折検査、角膜厚検査等の諸検査においての注意点や、 通常外来の中で自由診療を行なう問題点や解決策などスタッフサイドのLASIKへの取り組み方など、普段検査をしていて疑問に思っていたことが解消されました。
今後、この会で得たことを生かし、LASIK患者さんに術前検査、手術、術後検査において、より高い満足が得られるよう努力したいと思います。
エキシマレーザー手術部主任 吉田 隆司
<箱根紀行>
箱根といえば、まず新春の駅伝を思い起こしますが、今回のミーティングが開かれた11月3日は、箱根入り口である小田原で小田原北條五代祭りの中日で、有名な箱根大名行列が催されていました。 江戸時代の参勤交代を再現した秋の観光シーズン最大の行事で、2500人もの武者行列が湯本温泉街、 城下町小田原を練り歩くものです。