平成5年8月号(№2) 「えさし藤原の郷」を訪ねて
【 更新日:1993/08/01 】
皇太子殿下と雅子様御来盛でわきかえっている盛岡をあとにして「えさし藤原の郷」へ出発。約1時間20分後、 大河ドラマ「炎立つ」のメインロケ地に到着。約200ヘクタール(6万500坪)という広大な土地に総工費30億円をかけてこの地、江刺に奥州藤原時代を見事に甦らせたのである。
車を降りて、砂利道を踏みながら坂を登っていくと経清館、清衡館など何十という素朴な色合いの建物が独立して配置されている。見返坂を下り、もう一つの小高い丘を登っていくと、覆堂のない金色堂が見えてくる。雨に曇った杉木立の中にあでやかに再現されている。その丘から下を望むと、伽羅御所は寝殿造り様式で廊下によって各部所がつながれている。その渡り廊下を歩いていると、6月9日の十二単衣の雅子様の姿がふと思い出された。私も畏れ多くも雅子様の心境(?)になって、歩幅を小さくし、しずしずとその廊下を歩いてみた。
2月17日に第1回目のテレビロケが行われ、雪の江刺で素晴らしいシーンが撮れたそうだ。先祖達が輝かしい藤原文化の基を築いた東北のこの地で実際にロケを行うということは、出演者にとってもさぞ思い出深いことに違いない。また、地元の人々約90名が農民や兵士役でエキストラとして参加し、この番組を盛り上げているという。
今、私が立っているこの地を馬が走り、若武者たちが戦いの日々を重ねていたと思う時、足元に何か熱いものを感じた。この大地を大切にしていかなければと思い帰路についた。我が家に着いたころ、丁度皇太子殿下、雅子様は東京に帰られたとのニュースが流れていた。
(院長夫人)