点眼薬の先発品と後発品

【 更新日:2013/03/27 】

-後発品とジェネリック品の違いを御存知ですか?-

いわて医報No.664(2006年9月)

医療を取り巻く環境の変化は急速であり、いろいろな手段で進められている医療費抑制政策は多方面に大きな影響を及ぼしている。その中で、後発医薬品の使用推進は、医薬品に充当する財源削減という点から即効性のある施策として経済産業省が判断した結果であろう。
 ご承知の通り、先発品とは日本で最初に発売された新薬(新医薬品)のことで、後発品とは、新薬の特許が切れた後に発売される医薬品のことである。医薬品を製造、販売する際には、厚生労働省に承認申請を行う必要があるが、先発品と後発品では必要な書類量(試験量)が大きく異なっている。先発品の承認申請には、規格、安定性、安全性、薬理効果、体内動態、そして最も時間と費用のかかる臨床試験成績といった幅広い多くのデータが要求される一方、日本では欧米と異なり後発品に要求される項目は表1に示した3種類のみであり、点眼薬の場合は、眼に対する安全性に関する情報は含まれていないのである。結果として、申請資料の中に眼に対する安全性は求められていないことになっている。しかし、後発品といえども眼に初めて点眼する医薬品であり、たとえ申請資料に求められていなくても、後発品を製造、販売している製薬会社に対しては、何らかの安全性試験(臨床試験が好ましい)を実施し、医療機関側に情報提供する姿勢を求めたいものである。

表1. 後発品の製造承認に必要な申請書類

1. 規格及び試験方法
2. 安定性(温度40℃、相対湿度75%で6ヶ月間の加速試験)
3. 生物学的同等性
  (点眼薬の場合は、動物疾患モデルでの薬効比較で評価)

 

さらに、日本では、先発品と後発品に含まれる添加物が異なる医薬品が多く、点眼薬の場合でも同じことが言える。添加物の差異については、各添付文書に記載されている添加物の種類を見れば、簡単に確認できる。添加物が異なると、有効性や安全性にも違いが出そうだということは容易に考えられる。また、点眼薬においては、添加物がアレルギー症状に関係しているとも推測され、添加物の違いが安全性の問題と深く関与してくるとも言える。主成分となる薬物のみならず、防腐剤に代表される多くの添加物も含め、点眼薬に含まれるすべての成分が先発品と後発品の間でどう違うのか、あるいは、違いがないのかといった情報が後発品選択の際の最初の大きな判断基準になるのは当然であると考えられる。
 TVや新聞を見ていると、有名な俳優さんが出てきて「ジェネリック品は先発品と同じ成分、同じ効果」というふうに宣伝している。しかしながら、これには少なくとも2つの問題点、疑問点がある。まず、日本では公式にジェネリックという言葉はないということ(前述したように欧米のジェネリック品と日本の後発品の意味は同じではない)、次に、成分が同じという表現は正しくないのでは、ということである。成分とは、主成分+添加物のトータルを示すが、厳密に言えば、主成分が同じでも、成分(添加物)が異なる後発品がほとんどである。
 会員の皆様は、毎日口にする食料品に含まれている食品添加物を気にしていると思いますが、医薬品に含まれている成分(添加物)を気にしたことはありますか。医師と患者との信頼関係を保つ上で、後発医薬品についての正しい知識の啓発が必要ではないだろうか。


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