緑内障に対するレーザー手術

【 更新日:2018/08/20 】

薬の治療にて眼圧を充分にコントロールできない場合には、手術治療(繊維柱帯切除術、繊維柱帯切開術)などを行わなければならない方もおられます。しかし、手術となると入院加療が必要ですし、通院回数も増えることになり、安定するまでに時間がかかることも稀ではありません。観血的手術治療は、確実に進歩しておりますが、御高齢の方や体力が伴わない方にはなかなか難しいことも事実です。その点、以下に紹介するレーザー治療(選択的レーザー繊維柱帯形成術)は御高齢の方でも無理なく受けられる方法であり、追加レーザー手術も可能であること、また、その後、もしも観血的手術治療が必要になった場合にも影響を与えないことが分かっています。観血的手術治療やレーザー治療を行っても視野が元通りに回復するわけではありませんし、視力が良好になることはなく、あくまでも緑内障を進行させないための手段と考えて頂きたいと思います。緑内障と言われたからといってすぐに失明するというような失望感におそわれる方も多いと思われますが、早期発見、早期治療を心掛け、その視機能を生涯維持することが出来れば、自分の人生においてとても幸せなことだと考えて頂きたいと思います。

選択的レーザー繊維柱帯形成術(SLTレーザー)

治療の目的

目の中は房水という水で満たされていますが、その水は繊維柱帯という角膜(黒目)と虹彩(茶目)の間に存在する繊維柱帯というメッシュ状の構造物を通過して目の外に循環する仕組みとなっています。 繊維柱帯の抵抗が増すと眼圧が上昇し、緑内障を起こす一因となります。SLTレーザーはメラニン色素によく吸収されるので、周囲の組織を破壊しないで繊維柱帯に有効に作用します。 そのため、SLTレーザーを繊維柱帯に照射することにより、その隙間を広げ、房水の通りを良くすることが可能となり、眼圧を下げる効果が期待できます。

実際の治療について

・手術前に瞳を小さくする目薬(縮瞳薬)を点眼した後に点眼麻酔を行います。
・専用のコンタクトレンズを角膜の上にのせて、繊維柱帯にピントを合わせてレーザーを照射します。
・実質的な治療時間は約5分程度です。
・痛みはほとんどありません。
・術前と術後に点眼を行いますが、SLT治療を受けた患者さんは、通常翌日から普段と変わらない生活ができます。
・治療後の眼圧下降効果は患者さんによって異なります。

H30.08レーザー繊維柱帯形成術 (597x233)

 

副作用について

術後、一時的に眼圧が上がったり炎症が起きることがあり、点眼や内服薬で対応をしなければならないことがありますが、大抵の場合、1週間ほどで眼圧が落ち着いてきます。

治療の後に注意すること

・翌日受診し、視力、眼圧等の検査を受けて頂きます。
・治療後は眼帯はしませんが、瞳が縮まっていますので、治療当日の車の運転は控えて下さい。
・緑内障治療薬を使用している方は、医師の指示通り継続して下さい。

医療費について

・隅角光凝固術での算定となります。

1割負担 2割負担 3割負担 70歳以上 2割負担 低所得者 1、2割負担
約10,000円 約20,000円 約30,000円 約18,000円 約8,000円

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