オルソケラトロジーによる近視進行予防効果

【 更新日:2022/01/18 】

オルソケラトロジーによる近視進行抑制

光学的アプローチによる近視進行抑制法としてオルソケラトロジーが近年注目されています。オルソケラトロジーとは、特殊なデザインを持ったハードコンタクトレンズを計画的に装用することにより角膜形状を一時的に変化させて近視や乱視を矯正する手法であり、近年では夜間就寝時のみにレンズを装用するオーバーナイトオルソケラトロジーが主流となっています。本法により十分な矯正効果が得られれば、昼間の矯正用具は不要となり裸眼での生活が可能となります。手術の要らない革新的な近視の矯正治療法として近年注目されており、装用を中止すれば角膜形状や屈折を元の状態に戻せる(可逆性)という利点も有します。アトロピンが散瞳や調節麻痺に伴う視機能低下を代償としているのに対して、オルソケラトロジーは裸眼視力を向上させQOLを高める効果が期待できる点も強みです。我々は日本人を対象とした非ランダム化臨床試験を行い有意な眼軸伸長抑制効果を確認しました。
また観察期間を5年間に延長した検討においても眼鏡対照群と比較して約3割の眼軸長伸長抑制効果が得られていることを確認しました。2012年にはさらにエビデンスレベルの高いrandomized clinical trial(RCT)の結果も香港から報告されております。2015年には最もエビデンスレベルの高いメタ解析研究の結果が4編が立て続けに報告されました。いずれもオルソケラトロジーは学童期の近視進行を有意に抑制するという結論に至っており、数ある近視抑制法の中で最もエビデンスレベルは高いといえます。最近我々はオルソケラトロジー10年継続症例の安全性と近視進行抑制効果についてソフトコンタクトレンズ装用者との比較を行い、オルソケラトロジーの長期にわたる近視進行抑制効果と安全性を確認し報告しました。
オルソケラトロジーの近視進行抑制メカニズムですが、治療後の角膜形状がoblate形状になること、すなわち周辺部の角膜形状が急峻化するため、遠視性デフォーカスが改善し、近視の進行が抑制されると考えられています。

筑波大学眼科 平岡孝浩先生の近視進行抑制の臨床研究-研究紹介より引用

眼鏡矯正とオルソケラトロジーでの網膜結像面の違い

眼鏡(凹レンズ)による矯正 オルソケラトロジー治療後
近視眼に対して通常の眼鏡で矯正すると、周辺部に
遠視性デフォーカス(焦点ぼけ)を生じ、これが
眼軸を伸長(近視を進行)させるトリガーとなる
と考えられている。
オルソケラトロジー治療後は角膜中央はフラット化し近視が軽減するが、周辺部角膜は肥厚・スティープ化するため周辺での屈折力が増し、周辺網膜像での遠視性デフォーカスが改善する。その結果、眼軸長伸長が抑制され、近視が進行しにくくなるという仮説が支持されている。

平岡 孝浩:オルソケラトロジーによる近視進行抑制効果.
あたらしい眼科 Vol.32, No.4: 513-514, 2015 より引用


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