斜視に対するボツリヌス治療

【 更新日:2021/04/22 】

斜視に対するボツリヌス療法

≪ボツリヌス療法とは≫

ボツリヌス療法とは、A型ボツリヌス毒素製剤を外眼筋に注射して一過性の不全麻痺を引き起こし、眼位を調整する治療法です。手術に比べて侵襲性が低く、外来で実施できるというメリットがあります。
効果は通常、投与後2~3日目から現れ、1~2週で安定したのち、3~4か月で消失します。このように可逆的な治療であることから、斜視角の改善度に応じて再投与時の用量を増減し、眼位を微調整することが可能です。過矯正が生じた場合も、効果が減弱するにつれて元の眼位に復すると考えられます。

≪外眼筋の構造と機能≫

ボツリヌス療法では、眼球を司る外眼筋への注射を行います。
外眼筋は4つの直筋(内直筋、外直筋、上直筋、下直筋)、および2つの斜筋(上斜筋、下斜筋)からなります。支配神経は外直筋が外転神経、上斜筋が滑車神経、その他の4筋が動眼神経です。

ボトックスの投与方法

≪ボトックスの用法・用量≫

●成人ならびに12歳以上の小児が対象となります。
●外眼筋1つに対して所定の用量を筋肉内注射します。
●1筋あたりの最大投与量は10単位です。

<初回投与後の追加投与>
●初回投与後4週間観察して効果不十分の場合は追加投与が可能です。
●追加投与では「初回投与量の2倍」が上限用量となります。

<効果減弱時の再投与>
●前回の効果が減弱した場合は再投与が可能です。
●再投与では「過去に投与された1回投与量の2倍」が上限用量となります。
●再投与時の投与間隔は12週以上としてください。

≪ボツリヌス療法に適した患者≫
ボトックスの適応症は「斜視」であり、共同性・非共同性の両者を含みます。
ボツリヌス療法に適した患者として、手術に対して抵抗がある患者や、手術のリスクが高い患者のほか、手術後の過矯正および低矯正、発症後早期の麻痺性斜視や甲状腺眼症、網膜剥離手術後の患者などが報告されています。

 

<ボツリヌス療法に適した患者>

●強固な機械的運動制限がない

●手術の対象となりにくい
・手術に対して抵抗がある
・手術に伴う全身麻酔を施行しづらい、または前眼部虚血が懸念される(高齢者など)
・手術後に軽度の過矯正・低矯正がみられる
・麻痺性斜視発症から日が浅く、自然寛解の可能性がある
・基礎疾患の病状や眼位が不安定(甲状腺眼症急性期など)
・筋の癒着により手術が困難(網膜剥離手術後など)

≪筋電計を用いたボトックスの注射方法≫

点眼麻酔薬を投与し、開瞼器により眼を大きく開かせて固定します。点眼麻酔を3~5分おきに4~5回行えば、結膜下注射による麻酔は不要です。
筋電計の表面電極を額中央に貼付し、視線を出来るだけ正面に向けるよう指示してから、注射針を結膜から刺入します。
刺入の際には針先の斜面を眼球に沿わせます。また、電極針と開瞼器を接触させないように注意しましょう。

※国内臨床試験では、27ゲージ・37mmの注射針が使用されました。

注射針が外眼筋に到達したら、注射針の方向へ視線を向けさせます。針先が外眼筋に入っていれば、眼球の運動に伴う筋緊張を筋電計がとらえ、信号音が鳴ります。この信号音を確認出来たら、薬液を注入します。
(写真は内直筋投与の場合)

 

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