世界緑内障週間
世界緑内障週間における日本緑内障学会の取り組み
Ⅰ.世界緑内障週間と日本緑内障学会の取組み
世界緑内障週間は2008年から世界一斉に行われている緑内障啓発のための国際的イベントです。毎年3月上旬の1週間を世界緑内障週間(World Glaucoma Week)と定め、種々の啓発活動やロビー活動を各国・各地域の実情に合わせて行っています。無料眼科検診、講演会、マスコミを通じての啓発、行進、記念切手の発行、行政府への陳情など、いくつものアイデアが考えられ実行されています。実行組織は世界緑内障連盟(World Glaucoma Association)と緑内障に関する患者団体の世界緑内障患者連盟(World Glaucoma Patients Association)です。日本からは学会としての日本緑内障学会と患者団体としての緑内障フレンドネットワークが組織に加わっています。世界の活動は世界緑内障週間のホームページで概要を知ることができます。
日本における世界緑内障週間の啓発活動は、世界の動きと同調して、その第1回(2008年)から行われてきました。日本緑内障学会の公式な活動は講演会(東京、多治見、大阪)と眼科検診(多治見)でした。東京では緑内障フレンドネットワークと日本緑内障学会が協力して一般市民向けの講演会を2008年から毎年続けていますし、大阪でも同様に2013年と2014年の2回実施しました。多治見市では日本緑内障学会が多治見市、多治見ライオンズクラブと協力して2008年から2020年まで、目の健康講座と眼科検診とともに講演会を実施してきました。こうした取り組みはもちろん成果があがっていますが、限られた対象者に対する活動になりがちです。そこで2015年新しい取り組みとしてグリーンライトアップを実施しました。結果として、日ごろ眼の病気に興味を持たない一般市民に対する啓発効果が思いのほか大きそうであるということがわかりましたので、この運動を学会の公式事業として継続実施することといたしました。
Ⅱ.ライトアップ in グリーン運動
緑内障なので「グリーン」というのは一般の方にとってもとてもわかりやすいと思います。ライトアップ in グリーン運動には「公益社団法人日本眼科医会」・「公益財団法人日本眼科学会」の両団体にご理解をいただき後援をいただき、日本緑内障学会の事業として、学会の啓発活動委員会の中に、「ライトアップinグリーン実行委員会」を置き実施しています。2015年―2017年は、全国の公共機関を中心にライトアップをいたしました。2018年より医療機関でのライトアップを実施し、2020年にはその他の機関におけるライトアップも実施することといたしました。日本発で2015年に5箇所で始めた運動ですが、今では、一部海外へも広がっております。
Ⅲ.緑内障啓発活動の必要性
緑内障は我が国における中途失明原因の第一位です。けれども我々日本緑内障学会はこの状況は近い将来脱することができると信じています。その背景にあるのは近年における緑内障の診断と治療の進歩です。OCTを含む眼底検査により極早期の緑内障の診断率は格段に向上しました。多くの点眼薬の登場により、より低い眼圧レベルに保つことが可能になっています。緑内障手術の進歩も著明です。したがって早期に診断された緑内障が高度視機能障害をきたす確率は今後大幅に低下していくと考えられます。ただし、問題が残っています。緑内障の特性として初期の自覚症状が非常に少ないという点です。多くの患者さんが診断されることなく未発見のまま進行している事は問題です。また自覚症状が少ないことは、診療の継続が途切れる理由にもなります。さらに、緑内障と診断されたことで精神的なストレスや不安を抱えてしまわれる方があります。長期間の治療となりますので、その心の支えとなるのは緑内障に対する正しい知識と、主治医や仲間や家族とともに希望を持って病気と向き合うことだと思います。こうした背景から、「早期発見・継続・希望」をキーワードにした啓発活動が非常に重要であると日本緑内障学会は考えています。
日本緑内障学会 「世界緑内障週間 ライトアップinグリーン運動」
世界緑内障週間|ライトアップinグリーン運動 (ryokunaisho.jp)
当院のライトアップinグリーン運動
当院でもグリーンにライトアップしました。