慢性疲労症候群について

【 更新日:2019/09/09 】

皆様は慢性疲労症候群(choronic fatigue syndrome)という言葉を聞いたことがありますでしょうか。これは健康な生活を送っていた人が、日常行動を損なわれるような著しい疲労感、倦怠感を生じ、かつ、持続することを主症状とする原因不明の症候群です。
現代は情報社会であり、その情報に欠かせないのがパソコンです。パソコンや携帯電話を長時間使用することによる眼精疲労や肩こり、首のコリ、頭痛などを伴う訳ですが、このような患者さんは確実に増えています。アスタキサンチンはこのような病状の改善にも効果があると期待されています。

眼精疲労について

~眼精疲労のメカニズムとアスタキサンチン~

我々は遠くを見ている時には毛様体という水晶体の厚さを調節する筋肉が弛緩して、チン小帯が伸びてピントを合わせていますが、近くを見る時には毛様体が緊張し、チン小帯がゆるんで水晶体を厚くしてピントを合わせています。若いうちはこの働きがスムースに行われ、いわゆるカメラで言えばオートフォーカスしているのですが、それが出来なくなり、近くをみる時に水晶体の厚さを厚く出来なくなった状態が、いわゆる老眼です。また、最近ではテレビだけではなく、ゲームやパソコン、携帯電話などにより近くを見る機会が増えており、常に毛様体には緊張した状態が続き、目に負担がかかっている時間が長くなっています。この毛様体の負担を軽減し、改善する働きがアスタキサンチンにあることはわかっており、いろいろな施設からの報告が学会で発表されております。そのうちの代表的なものを下記に紹介します。

ciliary body

<富山大学眼科での臨床試験>

眼精疲労を訴えている人がアスタキサンチンを1か月間摂取したところ、眼精疲労を訴える人が54%減少しました。

 

<一宮西病院眼科での臨床試験> ~調節力~

眼精疲労を訴えている人がアスタキサンチンを1か月間摂取し、近点計にて調節力を測定した結果、アスタキサンチンの摂取により調節力が有意に改善しました。

アスタリールの紹介

アスタリールはアスタキサンチンというカルテノイドを含むサプリメント(栄養補助食品)の商品名です。
健康に関心が高まる現在、サプリメントは多数市販されています。「目に良いサプリメントはありませんか?」という質問をよく患者さんから受けることがあります。また、「私はブルーベリーを沢山含むサプリメントを飲んでいますが、本当に目に良いのでしょうか?」という話を患者さんからされることもあります。

目に良いサプリメントとはどういうものなのでしょうか。人間の体は年齢を重ねるごとに日々老化していくのは事実です。それを少しでも防ぐ作用があるサプリメントが求められている訳ですが、アスタキサンチンはその中でも大変有望なサプリメントであり、体を若く保つための抗酸化作用が非常に強いことが学問的に明らかにされております。

皆さんは活性酸素という言葉を聞いた事があるかと思います。酸素は我々が生活をする上で必須なものですが、酸素分子の中の電子が一つ多くなったものを活性酸素と言い、その状態になるとその酸素は様々な細胞・組織に付着しようとします。それが色々な面で体に悪いことをもたらし老化を起こしてしまうのです。

「ブルーベリーが目に良い」ということに話を戻しますと、ブルーベリーにはアントシアニンという色素が含まれており、これもカルテノイドの一種なのですが、暗いところで物を見る時に大切なロドプシンという物質の代謝を良くするということであり、正確には漠然と目に良いということは言えないのです。これに対し、アスタキサンチンは体の全ての組織の老化を防ぐ作用があることが分かっており、その中で最も期待されているのが目の老化を防ぐ働きです。目が疲れる(眼精疲労)症状の改善、眼底の病気で最近失明原因の上位にランクされてきた加齢黄斑変性症の防止、また眼の中の炎症を抑える作用等が多くの面で注目されています。また一般のサプリメントは薬店やインターネットなどで購入可能ですが、アスタリールは医師が適応と決めた方にのみ販売されることが原則となっています。

アスタリールの主成分であるアスタキサンチンのパンフレットをお読みになり、このサプリメントを試してみたい方は遠慮なく担当医に御相談下さい。

最近の治験

アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、エビ・カニなどの甲殻類、サケやイクラなどに豊富に含まれる橙色色素である。縄文遺跡からはサケの定置網やサケ類の骨が多量に出土し、人類が古来摂取してきた食品成分でもある。

1.動物モデルでの検討
アスタキサンチンは強力な抗酸化作用/抗炎症作用を発揮する。エンドトキシン誘発ぶどう膜炎モデルでは、前房水中の炎症細胞数や前房内蛋白濃度、各種サイトカインやケモカインの減少、毛様体のNF-kB陽性細胞数も減少した。加齢黄斑変性の動物モデルであるレーザー誘導脈絡膜血管新生でも、血管新生が抑制された。
眼表面に対する効果の検討では、マウス紫外線誘発角膜炎モデルを用いた。アスタキサンチンを片眼に点眼した後に紫外線Bを両眼に照射したところ、角膜上皮障害はアスタキサンチン点眼群で有意に軽症化した。

2.臨床での検討
日常的にパソコン業務などが多く、眼精疲労を自覚する健康成人を対象として、試験食品を4週間連日経口摂取してもらった。対照群とアスタキサンチン経口摂取群の2郡に分け、無作為二重盲検前向き試験を行った。アスタキサンチン群では調節力が有意に改善し、その効果は摂取日数が長くなるほど増強した。摂取前後の客観的眼精疲労度評価でも有意な改善がみられた。アスタキサンチン摂取は眼精疲労の軽減と調節機能の改善に有効であると考えられる。
次に健常者を対象として、レーザースペックルフローグラフィー(LSFG)を用いて眼底の血流速度を測定した。摂取前、摂取後2週目および4週目に、アスタキサンチン経口摂取群では血流速度が上昇した。
アスタキサンチンは微小炎症や酸化ストレスを軽減し、眼精疲労だけではなく加齢黄斑変性や角膜炎、緑内障などに将来応用できる可能性が示唆された。

アスタキサンチンの健康増進作用


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