網膜静脈分枝閉塞症・網膜中心静脈閉塞症

【 更新日:2013/10/10 】

網膜静脈閉塞症について

 網膜静脈閉塞症は、眼底の網膜(カメラのフィルムの役目をする部分)の静脈がつまって網膜に出血と腫れ(浮腫)をきたした状態です。網膜静脈の中心がつまったものを網膜中心静脈閉塞症と呼び、中心静脈の枝がつまったものを網膜静脈分枝閉塞症と呼びます。自覚症状として、網膜出血や浮腫が眼の中心部に及んだ場合には、視力が低下します。また、中心部に及ばない場合は、視野(見える範囲)が狭くなります。
 この病気の原因は、高血圧症、高脂血症(高コレステロール血症)や糖尿病などによる動脈硬化症です。

治療方針を決定するための診断方法

 眼底検査、眼底写真撮影や蛍光眼底造影検査(眼の血管造影)で、網膜血管の血液の流れ具合を確認します。検査結果で網膜浮腫(黄斑浮腫という中心部の腫れを含む)や網膜無灌流領域(血液が流れていない所)がある場合は、レーザー光線による網膜光凝固術や眼の後ろ側や眼の中(硝子体)への注射治療が必要になります。網膜無灌流領域をそのままにしておくと、新生血管が発生し、硝子体出血(眼の中心部への大出血)が起こり、視力低下をきたします。網膜中心静脈閉塞症のときは、緑内障が起こることもあります。

治療の方法・目的と合併症

1. 内服治療
 血液の流れを良くする薬や止血薬を飲むことで病状を改善させます。ただし、内服の治療のみで済むのは病状が軽い方のみです。

2. 網膜光凝固術
 レーザー光線の熱凝固で出血の吸収を早めたり、腫れを引かせたり、血液の流れを良くしたり、新生血管や硝子体出血の発生を予防したりします。また、網膜中心静脈閉塞症のときは、緑内障を予防する目的もあります。治療の際には、目薬の麻酔を行い、特殊なコンタクトレンズを装着して行います。治療中、多少痛みを感じることがありますが、我慢できないほど強い痛みはありません。また、治療時間は10分~20分位です。合併症として、治療後に視野(見える範囲)が狭くなったり、暗くなったり感じることがあります。

3. テノン嚢下注射
 眼の中心部が腫れる黄斑浮腫をステロイドという薬を眼の後ろに注射することで腫れを引かせます。治療の際には、目薬の麻酔を行い、白めの表面の薄皮を小さく切開して、そこから丸い注射針を入れて薬を注入します。合併症として、一時的に眼圧(眼の硬さ)が上昇することがあります。

4. VEGF阻害剤の硝子体内注射
 VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤は、眼底の脈絡膜新生血管を抑える薬です。眼の中に微量(0.05cc)注射することで、新生血管の増殖や成長を抑えるとともに、視力に大切な眼の中の中心部(黄斑部)の浮腫を消退させる効果があります。

網膜静脈閉塞症に対するVEGF阻害剤ルセンティス

 ルセンティス(一般名:ラニビズマブ)は眼科専用のVEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤として開発され、2009年以来加齢黄斑変性症の治療薬として認可されていましたが、今回(2013年8月)の適応追加に伴い、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫にも保険適用が拡大され、使用できることになりました。これまで網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対する治療としては、レーザー光凝固術や副腎皮質ホルモン(ステロイド)による治療が行われてきましたが、新たにルセンティスが治療の選択肢に加わったことにより、今まで治療が困難だった患者さんの視力改善が期待されています。当院でも、9月からVEGF阻害剤ルセンティスの硝子体内注射治療を導入し、治療を開始致しました。今まで以上に患者さんの視力向上に貢献できることを願っております。


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