術前履歴情報の重要性

【 更新日:2013/03/11 】

屈折矯正手術の術前履歴情報について

小笠原孝祐

我が国においても LASIK をはじめとする屈矯正手術の症例数は増加しており,エキシマレーザーによる屈折矯正手術の累積手術件数は平15年末で 10万眼を超えたと推定されている。これに伴い,白内障手術が必要な症例も徐々に増加するものと考えられる。
しかしながら,諸外国で手術を受けた方は例外としても,我が国の屈正手術施設にて手術を受け,術後に受診する患者さんを診ると,紹介状を持参せずに来院する方 ほとんどは術前の自分自身の目に関するデータがわからず,対応に苦慮することも少なくない。特に東北地方においては屈折矯正手術施設が少ないため,都市部のいろいろな施設で手術を受けてくる例が目立ち,手術施行施設に問い合わせて術後長期間経過している場合等には術前の履歴情報についての十分な返答が得られないこともある。

 

平成16年2月に「エキシマレーザー屈折矯正手術のガイドライン」の二度目の答申が出されたが,術後のフォローアップについての規定では、術前データの患者さんへの提供義務は記されない。このような状況下においては,白内障手術で移植される眼内レンズの適正度数を予測することはきわめて難しくなることは明らかである。屈折矯正手術の眼内レンズ度数予測における角膜屈折力の測定方法はいろいろ考えられているか,何といっても屈折の履歴情報の利用か最も望ましいことは論を待たない。このままでは医事紛争にまで発展する白内障手術事例も出てくるのではないかと危倶される。そして,その当事者は屈折矯正手術を行った術者ではなく,白内障手術を施行した眼科医になることを忘れてはなるまい。私は少なくとも眼科専門医を標榜する屈折矯正手術施設においては,術前の眼所見を保存するシステムを構築することはもちろんである術前データを記載したIDカード(下記参照:現在当院にて使用,6cmx9.5cmにラミネート)あるいはそれに類似のものを術後に患者さんに持たせることを提案したい。また,日本眼内レンズ屈折手術学会が学会時に開催している屈折矯正手術講習会の講義内容にこの件についても取り入れて頂くことを要望したい。

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(表面) (裏面)

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