平成6年6月号(№12) アメリカの思い出 その1

【 更新日:1994/06/01 】

先日、会議に出席のために新宿西口を通りホテルへ向かった。1年前は工事中であった西口通路は観葉植物の花壇が並べられ、すっかり変わっていた。しかし、その花壇の間にはダンボールが敷かれ、いわゆる家のないホームレスの人々がたむろし、その数は増加の一途をたどっているという。友人の話では、梅雨時は汚物や残飯の匂いがひどいということである。また、食べ物やお金をめぐるケンカもあとを絶たないようである。
 新宿の光景を見て、米国に滞在中の思い出の一つがよみがえってきた。それは10年前にワシントンのFBIの近くのホテルに家族とともに一泊したときのことであった。朝食をとりにレストランに行った際、一人の老夫婦が外から入って来てミルクを注文したまではよかったが、その後、テーブルをまわり食べ残したパンや卵などを集めて歩いていたのである。このような人々はいわゆるホームレスで、夕暮れとともに市の中心部のホテルに集まりはじめ、夜間はその周囲で雨風をしのぎ、翌朝食料を集める生活をしているのである。先進国といわれるようになった日本も恥部の面では米国に近づかないように願う心境である。


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