第308回岩手眼科集談会

【 更新日:2013/03/27 】

大森 可芽里・小笠原 孝祐
シェーグレン症候群に伴う前部ぶどう膜炎の一例

シェーグレン症候群 ( 以下SS) は外分泌腺の慢性炎症を主病変とする全身性の自己免疫疾患で、眼科的には乾性角結膜炎を呈することは良く知られているが、ぶどう膜炎や視神経炎を合併する例の報告は少ない。今回SSに肉芽腫性前部ぶどう膜炎を伴った一例を経験したので報告する。症例は現在63歳の女性。平成10および14年に左眼の視力低下を主訴に受診し、いずれにおいても片眼性の肉芽腫性前部ぶどう膜炎を認めた。平成14年には、抗SS-A抗体の高値ならびに口唇生検での慢性唾液腺炎像から内科で原発性SSと診断された。二度の眼発作ともステロイドの局所投与のみで消炎は得られたが、肉芽腫性ぶどう膜炎の鑑別にはSSも念頭に置く必要があると思われた。また、抗炎症剤の点眼治療中に角膜上皮障害が遷延化したため自己血清点眼や涙点プラグの併用療法を要したことから、SS症例の治療では角膜上皮に対しても愛護的な配慮が必要と思われた。


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